「ありのままの自分でいい」の誤解

よくスピリチュアル系の書物やセミナーなどで、「ありのままのあなたでいいんですよ」という言葉を聞きます。この言葉は一般的に、自分を救う考え方として使われていますが、多くの人が、その意味を取り違っているように思えます。今回は、「ありのままでいい」でなぜ救われないのかを書いてみたいと思います。

「ありのままの自分でいい」とは言うけれど・・・

まず、「ありのまま」という言葉を検証してみましょう。これは「在るがまま」と書き、辞書などでは「実際にある、その状態のまま」や「今ある形のまま」という意味があります。

この意味からすると、「ありのままの自分でいい」ということは、「今の自分のままでいいんだ」ということだと受け取れますね。そしてそれは主に、自分の持っている性格に基づいて言われている場合が多いようです。たとえば、「私はおっとりしている(この性格の)ままでいい」「私は短気の(この性格の)ままでいい」などです。

あるとき、お客さまのAさんから、「スリムになりたいけど、お菓子もやめられない。でもあるがままでいいって言うことは、お菓子を食べ続けていてもいいんですよね?」と相談を受けました。

はたして、Aさんはどのようにしたらお菓子を止めずとも、スリムになれるのでしょうか?

 

「ありのまま」の本当の意味

人間は日々、進化しています。一見、周りの状況も変化はないし、自分自身も昨日と同じように見えるかもしれません。しかし、実は毎日、何かが昨日とは違っているのです。それは私たちや、私たちを取り巻く物質全てが、「生きている」からです。目には見えませんが、細胞の、原子の振動が絶え間なく繰り返されているからです。

ですから、「今の自分のまま」でいることなど、もともと不可能なことなのです。つまり「ありのまま」でいれるものなど、何もないということです。

特に人間は、知性や感情を持ってこの世に生まれてきています。人生の目的(お役目)を持って降りてきているので、常に自分を磨いて、成長していくというDNAが、その細胞に刻み込まれているのです。

そうして考えていくと、「ありのままの自分でいる」ということの、本当の意味が分かってくると思います。それはすなわち、「自分のその時の考えや気持ちで動く」ということです。

人はその瞬間・瞬間、考えや気持ちが変化します。さっきまで「疲れたなぁ」と思っていても、彼氏から遊びのお誘いが入ると、ウキウキとお出かけの準備を始めたりします。しかし、「疲れたなぁ」と思っていた自分と、「やった!彼と遊びに出かけれる!」と思っている自分とは、別人でしょうか?

どちらも、自分自身ですよね。

このように、「ありのままの自分」というのは、何も「おとなしい自分」とか「短気な自分」というような性格でくくれるようなものではなく、その瞬間の自分でいる、ということなのです。

「ありのままの自分」を見極める

その瞬間の自分でいる、ということが、ありのままの自分でいることだと言いました。それをもう少し具体的に説明していきますね。

前述の「スリムになりたいけど、お菓子も止められない」というAさんの場合。この時、Aさんの中には、「スリムになりたい」という自分と「お菓子も食べたい」という相反する2人の自分が存在します。そして、物理的にはお菓子という高カロリーのものを摂取しながら、同時にスリムになるということは不可能です。(お菓子を食べすぎて、お腹を壊さない限り)

ですから、「ありのままの自分」で生きようとするなら、その時の、どちらの自分を優先させたいかということになってきます。

つまり「スリムになりたい」という気持ちを優先させて、お菓子をあきらめるか、または「お菓子を食べたい」という気持ちを優先させて、お菓子を食べるかのどちらかです。どちらも「ありのままの自分」です。

例えば旅先で、そこでしか食べることのできないお菓子を目にしたら、食べることにする、とか、お腹は空いていないから、目の前にあるお煎餅はまた今度にする、とか、そういう選択をしていくのです。また、お菓子を食べる代わりに、近所を30分、ぶらぶら散歩してみよう、というのも良いでしょう。そうすると「スリムになりたい」という自分も汲み取ることになります。

「ありのままの自分」というと、どこか従来の自分のままでいい、自分を変える必要はないという意味で取っておられる人も多いように思います。しかし実は、「ありのままの自分」は、毎瞬、変動しているもので、今のままでいるということなど、不可能なのです。

「ありのままの自分」でいるとどうなるか?

ありのままの自分でいると、まず、生きやすくなります。それは外に向いていた目が、自分自身に向くようになるからです。今までは「これを言ったら、人にどう思われるだろう」、「こんなことをしたら、笑われるかなぁ」などと、人目線だった視線が、自分目線になるのです。

「その瞬間の自分でいる」ことが「ありのままの自分」であると言いましたが、それはすなわち、自分の心の声を聞くということです。そしてその声に従わない生き方をしていると、どんどんストレスが貯まっていき、それがやがてさまざまな問題となって爆発します。病気、お金、人間関係など、問題の根本的な原因はすべて、ストレスが下敷きになっています。

いわば「ありのままの自分」でいることは、幸福行きのチケットのようなものです。しかしこういうと、特に日本人の方が、「でも自分のことばかりでいいの?」と言われます。

自分のことばかりでいいのです。というのは、自分のことばかりやっているつもりでも、それが結果的には周囲の人のためになっているということがよくあるからです。たとえば、ボランティア。自分の中に「ボランティアをやりたい」という自分がいたら、それを実行すればよいのです。そしてそれは、自分のことでありながら、周囲の人のためにもなることですよね?

もともと、人目を気にして、やりたくもないのにボランティアをしても、周囲のためにはなりません。なぜなら、そこには愛がないからです。そこにあるのは、周りからよく見られたいというようなエゴしかないからです。そしてエゴのエネルギーは、周囲にとって毒を流す行為になります。

反面、あなたがあなたの心に従って生きるとき、宇宙とあなたは繋がっています。あなたがイキイキとするとき、そのエネルギーは周りにも広がって、良い影響を与えます。人はまず、自分が満ち足りると、自然とそれを周囲に循環していきたいという気持ちになります。そこに至るまでには、人それぞれステージがあるので、焦らず、まずは自分に焦点を合わせ、自分の心の声に従うことから始めましょう。

言い方を変えると、「ありのままに生きる」ということは、自分自身を何よりも尊重し、自分の心に向き合って、素直に生きていくこと、と言えるでしょう。

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